質問.「カクタス」の意味を教えて下さい。 あと、カクタスとアーティチョークが関係してるという噂は本当ですか?
回答.「カクタス」は「サボテン」という意味です。 そして、噂に関して答えはYes。 カクタスとアーティチョークは無関係ではありません。
1.「カクタス」を徹底解説
1.1. "cactus" の複数形
英語の場合、"cactus" の複数形は3種類もあります。 "cacti"、"cactuses"、"cactus"(*)の3つです。- "cacti" はラテン語の名詞が複数形になるときのルールを踏襲したものです。 "cactus" が元々はラテン語なので。
- "cactuses" は英語の文法に則(のっと)って "cactus" を複数形にしたものです。
- "cactus" はフランス語の影響かもしれません。 フランス語では単数形も複数形も "cactus" です。
1.2.「cactus =サボテン」
"cactus" は狭義(狭い意味)ではサボテン科(Cactaceae)の植物を指しますが、広義では、サボテン科ではないけれどサボテンに似る多肉植物も指します。
この点に関しては日本語も同じです。 われわれ日本人もサボテン科ではない植物も「サボテン」と呼びますから。
例えば次の写真は学名をユーホルビア(Euphorbia)と言う植物で、断じてサボテン科の植物ではありません。
画像提供: Frank Vincentz 様
画像提供: Frank Vincentz 様
けれど、この植物を見た100人中99人が「これはサボテンです」と言うことでしょう。
残る1人(植物の専門家)も 「これはユーホルビアだね。厳密にはサボテンじゃない。でもまあ、一般的にはサボテンと呼んで差し支えない。もうサボテンでいいよ。 これはサボテンです」 と言うことでしょう。
したがって、「cactus =サボテン」です。サボテンは茎の部分で光合成します。 葉っぱの部分がトゲトゲに進化してしまって光合成できないので、健気(けなげ)に胴体の部分で光合成しているのです。
ご存知でしたか?②ユーホルビア属の植物の多くは、サボテン科の植物がアメリカ大陸(新大陸)でトゲトゲの多肉植物に進化したのと同じように、アフリカの砂漠などでトゲトゲの姿へと進化しました。
2. カクタスとアーティチョークの関係
2.1. どんな関係?
「カクタス」の語源がアーティチョークです:
- "cuctus" の語源は "κάκτος(káktos)"というギリシャ語。 "κάκτος" は「地中海のシシリー島に生えるトゲトゲしい植物」を指す言葉ですが、この「トゲトゲしい植物」とはアーティチョークです。
- "cuctus" は "κάκτος" からラテン語 "cuctus" を経て、イタリア語・フランス語・英語などに入ってきました。
- ラテン語の "cuctus" も「アーティチョーク」を意味します。 地中海地方にサボテンは自生していません。
英語に "cactus" という語が入ってきたのは 1600年ごろ。 英語の "cactus" も当初は「アーティチョーク」の意味で使われていたようです。
英語の "cactus" が「サボテン」の意味で使われ出したのは 1769年。 新大陸(アメリカ)で発見されたサボテン科の植物をアーティチョークの近縁種と勘違いしたリンネ(スウェーデンの植物学者)が、サボテン科のトゲトゲ植物を "cactus" と呼んだのがきっかけだそうです。
2.2. アーティチョークとは?
アーティチョークは地中海沿岸を原産地とするキク科の多年草。 つぼみの花托(かたく)が食用になります。
アーティチョーク (画像提供: JACLOU-DL 様)
カルドン(cardoon)という植物を食用に品種改良したのがアーティチョークです。 上述の「シシリー島に生えるトゲトゲしい植物」も厳密にはカルドンでしょう。
カルドンの学名は "Cynara cardunculus" で、それを品種改良したアーティチョークの学名は "Cynara cardunculus var. scolymus" です。