"another two days" の意味は? 単数扱い? それとも複数?

質問: "another two days" とは、どういう意味ですか? 文法的に間違っているのでは?

回答:もう2日、さらに2日」という意味です。

すでに何かの期間に(明示的または黙示的に)言及しているときに、最初に言及した期間に加えて「もう2日」と言いたいときに使われるのが "another two days" です。
"another three days" なども同様です。

詳しくは以下をご覧ください。

1.「another + 複数形」は正しくない表現

「another + 単数名詞」が基本

"another" は単数の名詞と共に使うのが基本です。 例えば、"another apple" という使い方は正しいですが、"another apples" は正しくありません。

そもそも、"another" は "other" に不定冠詞の "an" が付いた言葉ですから、複数の名詞に使うのはおかしいのです。

「another + 複数形」になる理由

ところが "another two days" では、複数の名詞である "two days" に "another" が使われています。

その理由は不明ですが、恐らく次のような理屈でしょう:

"another two days" では "two days" を例えば「1ダース(a dozen)」と同じように1つの単位として扱うので "another" と併用できる。

2. "another two days" は単数? 複数?

"another two days" というフレーズは複数としても単数としても扱われます。

単数名詞にしか付かない "another" が複数名詞に付くという矛盾のために、"another two days" は単数として扱われたり複数として扱われたりするのでしょう。

複数扱いの例

動詞が "were" や "are" である点に注目です。
Another two days were spent in Buenos Aires.
ブエノスアイレスでさらに2日間が費やされた。
From Paratepui, most hikers take one day to reach the base of the mountain, and then another day to follow "El Rampa" a natural staircase-like path, up to the top. Another two days are typically needed for the rerurn, and many people spend one day on top of the mountain for five days total.
パラテプイから山の麓(ふもと)まで行くのに、大部分のハイカーは1日を要する。 そこから自然の階段のような道である「エル・ロンパ」を通って頂上にたどり着くのでさらに1日。 帰路にもう2日かかるのが一般的で、多くの人は頂上で1日を過ごすから、トータルで5日になる。

「1日(one day)+もう1日(another day)」で「2日」。 その「2日」を前提として「もう2日」です。

最後の部分は原文の英語の質が良くないので意訳です。

単数扱いの例

動詞や助動詞が "is" や "has" である点に注目です。
Another two days has passed.
さらに2日が過ぎた。
I have been researching this issue for two weeks, so another two days is fine.
この問題を2週間も調べ続けてるから、あと2日ぐらい構わない。

3.「another + two days」の使われ方

既出の "two days" を踏まえた表現であるはず

先述の仮説によれば、"another two days" という表現は次のステップで生まれたと考えられます:

  1. "a (one) set of two days" というイメージがまず存在する。 2日で1セット(1つの単位)。
  2. "a (one)" と対比される概念としての "another" を用いる(*) "another set of two days" という表現が生じる。
  3. "set of" が省略された "another two days" が生まれる。
(*) 既に文脈に登場している「とある~(one)」に対して用いられる「別の~(another)」。

つまり "two days" が前もって一度使われているはず

であるからには、当初に言及される日数は「2日(two days)」に限られるはずです。 当初に言及する日数が例えば "three days" だと、「2日」というセット(単位)が一度も登場していないのに「2日をもう1セット」という言い方をすることになります。

それは例えば、10ccの計量スプーンが1本あるときに、5ccの計量スプーンを持ち出してきて「もう1本5cc計量スプーン」と言い出すのと同様におかしなことです。 「もう1本の5cc計量スプーン」という言い方は、すでにその場に5cc計量スプーンが存在している場合にふさわしい。

"two days + another two days" の用例

次の3つの例文では、"another two days" の前にまず "two days" が用いられています。
The weather turned against us for the next two days... After this it pleased God to give us good weather, so that in another two days we reached Grand Canary, where we put into port...
# 出典: Google Books: The Four Voyages of Christopher Columbus コロンブス本人の手記などを英国人が編纂した書籍。19世紀に出版された。
When Minnesota United traded forward Christian Ramirez to LAFC last season, he had two days to pack up his family and the condo they had just bought and get to Los Angeles, where he had another two days to introduce himself to his teammates before debuting with his new club.
# 出典: LA Times
The all new songs were rehearsed in two days and then recorded in another two days.
# 出典: Wikipedia: Avalon Sunset

それなのに...

ところがネットで用例を調べると、"another two days" が使われる前に出現する期間が "two days" とは限りません。

three days + another two days

If the jet lag and heat don't slow you down too much, you can cover a good number of Bangkok's attractions in three days. In another two days you can see more of the city or take short trips outside it.
# 出典: New York Times

six days + another two days

Machining is completed in six days. Assembly of those parts destined for the US market follows immediately and is completed in another two days.

混在

次の例文では、"another two days" を使う前に "two days" と "four days" という2つの期間に言及しています。
...we were able to remove the old system in two days, install the new system in four days and make all the measurements in another two days.
# 出典: LANXESS ARENA INSTALL(PDFファイル)

その他のケースも

例文は記載しませんが、具体的な期間を持ち出さずに、いきなり "another two days" が使われるケースや、当初に登場する期間の単位が "days" でなく "a week" などであるケースも珍しくありません。

結論

"another two days" は「"another" の前提としての "one"」という理屈などお構いなしに、日本語の「もう/さらに/あと2日」と同じように自由な使われ方をします。

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