質問: 先日、「プレイヤー」というカタカナ語を見かけました。
「プレイヤー」の意味は私も知っています。「スポーツ選手」とか「ゲームで遊ぶ人」とか「音楽プレイヤー」とかです。
でも、こないだ遭遇した「プレイヤー」は、そういう意味じゃないんです。 そうした意味を当てはめても文を理解できないのです。
そこで私は思いました。「プレイヤー」には私の知らない意味があるに違いない、と。 どうかお願いです、私が知らない「プレイヤー」の意味を教えて下さい。
回答: あなたが知らない「プレイヤー」の意味は、「祈り」です。 詳しくは以下をご覧ください。
1. 元の英語
カタカナで「プレイヤー」と表記される英語は次の2つです:
- player ・・・「選手、遊ぶ人、劇を演じる人(俳優)、演奏する人、音楽を再生する機械」などを意味する名詞
- prayer ・・・「祈り、祈る人」を意味する名詞
上記の2つの言葉の違いは2文字めが "l" か "r" です。
あなたが知らなかった「プレイヤー」は "prayer"(2文字めが "r")のほうです。
2. "prayer" の成り立ち
2.1. 2つの意味は成り立ちが違う
名詞 "prayer" の2つの意味(「祈り」と「祈る人」)はの成り立ちが違います。
「祈る人」を意味する "prayer"
「祈る人」を意味する "prayer"は、"pray" と "-er" から成ります:
- pray ・・・「祈る」を意味する動詞
- -er ・・・「~する者/物」を意味する接尾辞
「祈り」を意味する "prayer"
「祈り」を意味する "prayer" は「嘆願」を意味するラテン語の名詞 "precāria" が語源です。 この "precāria" から古フランス語を経て英語に輸入されました。
2.2. でも、究極的な語源は同じ
上述の "precāria" のさらに先の語源は、「頼む、願う」を意味するラテン語の動詞 "precor" です。
「祈る」を意味する動詞 "pray" も同じ "precor" が語源です。
3. 第三の「プレイヤー」
実は、カタカナで「プレイヤー」と表記される英語にはもう1つあります。 「プレイヤー」の元となる英語は全部で3つなのです。3つ目の「プレイヤー」の元の英語は "preyer"(1) という名詞で、意味は「捕食者(2)」です。
でも、"preyer" という英語の時点でマイナーな言葉(3) なので、カタカナの「プレイヤー」が「捕食者」の意味であることは稀でしょう。(1) "preyer" は "prey" と "-er" から成ります。 "prey" は「獲物」という名詞の意味のほか、「~を餌食にする」という動詞の意味を持ちます。
(2) 捕食者とは例えば、ネズミにとってのフクロウ。
(3) この言葉を載せていない辞書が多い。4. おさらい
- player ・・・ みんなが知ってる「プレイヤー」
- prayer ・・・「祈り、祈る人」を意味する「プレイヤー」
- preyer ・・・「捕食者」を意味する「プレイヤー」