質問. ハリーポッターやグリム童話や死神などの「グリム」とはどういう意味ですか?
回答.「グリム」には2種類あります。 以下をご覧ください。
1. 死神やハリーポッターの「グリム」
死神の名前としての「グリム」や、ハリーポッターに登場する「グリム」は、アルファベットに戻すと "Grim" です。
死神名やハリポタの "Grim" の由来は "grim" という英単語だと考えられます。
なので、次に "grim" の意味を見てみましょう。
1.1. "grim" の意味
形容詞の意味
"grim" は英語の形容詞で次のような意味を持ちます:
- 陰気な、陰鬱な、不気味な、不吉な
- (表情などが)厳しい、容赦のない
- 不快な、嫌な
- 体の具合が悪い
- 怒り、ラース
- 幽霊、子鬼(ゴブリン)
名詞の意味
昔は次の名詞の意味も "grim" にありました:
現代では "grim" はこの意味で使われません。
「死神」の意味は無い
今のところ、英語の "grim" に「死神」という意味はありません。 ゲームやマンガの中で死神が「グリム」と呼ばれるにせよ、英語の辞書の "grim" の項に「死神」という意味は載っていません。
フィクション作品で「死神」を「グリム」と呼ぶことが多いのは、次に述べる "the Grim Reaper" が理由でしょう。
1.2. 死神「グリムリーパー」
「死神」を意味する英語に "the Grim Reaper" があります。
言葉の意味
"the Grim Reaper" の "Grim" は前記の形容詞の "grim"です。 "reaper" の意味は「刈(か)り取る者」。
よって、"the Grim Reaper" の直訳は「不吉な(陰鬱な)刈り取る者」です。
「グリム・リーパー」について詳しく
一般的な "reaper" が刈るのは稲や麦などの作物ですが、「グリム・リーパー」が刈るのは魂です。 ゆえに、「グリム・リーパー」は死神です。
「グリム・リーパー」は、マントを羽織り(あるいはフード付きの黒く長い衣服を身にまとい)両手持ちの大鎌を手にした骸骨の姿をしています。 この大鎌で魂を刈り取ります。
言葉の歴史
「死神」を意味する "the Grim Reaper" が使われ始めたのは19世紀になってからです(記録に残る最古の用例は 1847年に出版された "The Circle of Human Life")。1.3. ハリーポッターの「グリム」
ファンタジー小説『ハリーポッター』に登場する「グリム(The Grim)」は巨大な黒犬の姿をした幽霊で、死の前兆(あるいは原因)です。
『ハリーポッター』のグリムは上述の「グリム・リーパー」を意識して作られたキャラクターに違いありません。 死を告げるのは死神の行いにほかなりません。「グリム(grim)」という名前の由来も「グリム・リーパー」でしょう。
2. グリム童話の「グリム」
グリム童話の「グリム」は人名(名字)で、アルファベットに戻すと "Grimm" です。 なので、上述の "grim" とは別の言葉です。
グリム童話が「グリム童話」と呼ばれるのは、グリム兄弟(*) と呼ばれる仲良し兄弟が集めた童話だからです。3. 死神の「グリム」とグリム兄弟の関係
死神的な意味で使われる「グリム」は "grim" で、グリム兄弟の「グリム」は "Grimm"。 残念ながら別々の言葉です。
ですがご安心ください。 落ち込んでいる貴方に朗報です。 "grim" と "Grimm" は語源が同じです!
"grim" も "Grimm" も語源を突き詰めると、「残酷な」などを意味するゲルマン祖語の形容詞 "grimmaz" に行き当たります。 良かったですね。