ハリーポッター、童話、死神... 「グリム」の意味は?

質問. ハリーポッターやグリム童話や死神などの「グリム」とはどういう意味ですか?

回答.「グリム」には2種類あります。 以下をご覧ください。

死神やハリーポッターの「グリム」

死神の名前としての「グリム」や、ハリーポッターに登場する「グリム」は、アルファベットに戻すと "Grim" です。

"grim" は英語の形容詞で次のような意味を持ちます:

  1. 陰気な、陰鬱な、不気味な、不吉な
  2. (表情などが)厳しい、容赦のない
  3. 不快な、嫌な
  4. 体の具合が悪い
昔は "grim" に「幽霊」や「子鬼(ゴブリン)」という名詞としての意味もありました。
でも今では、"grim" は「幽霊」や「子鬼」の意味では使われません。

死神「グリム・リーパー」

「グリム・リーパー(the Grim Reaper)」とは「死神」のことです。

英語で「死神」は "the Death" です。 "death" に「」という意味があります。

死神の意味で使われる "death" は定冠詞(the)が付き、常に大文字で始まります(the Death)。

"reaper" は「刈(か)り取る者」という意味です。 「刈る」は普通は稲や小麦などを刈り取る(収穫する)ことを意味しますが、「グリム・リーパー」が刈るのはです。

「グリム・リーパー」は、マントを羽織り(あるいはフード付きの黒く長い衣服を着て)両手持ちの大鎌を手にした骸骨の姿をしています。 この大鎌で魂を刈り取るわけです。
死神の意味で "the Grim Reaper" が使われ始めたのは19世紀になってからです(記録に残る最古の用例は 1847年に出版された "The Circle of Human Life")。

ハリーポッターの「グリム」

ファンタジー小説『ハリーポッター』に登場する「グリム(The Grim)」は巨大な黒犬の姿をした幽霊で、死の前兆(あるいは原因)です。

『ハリーポッター』のグリムは死神を意識して作られたキャラクターに違いありません。 死を告げるのは死神の行いにほかなりませんし、「グリム(grim)」という名前も「グリム・リーパー」に由来しているでしょう。

今のところ、"grim" だけでは「死神」の意味になりません。 "reaper" と併用して "grim reaper" とすることで「死神」の意味になります。

ですが『ハリーポッター』に限らず、死神的なキャラクターの名前として「グリム」が用いられるケースがあるので、遠からず "grim" だけで「死神」を意味するようになると思います。

グリム童話の「グリム」

グリム童話の「グリム」は人名(名字)で、アルファベットに戻すと "Grimm" です。 なので、上述の "grim" とは別の言葉です。

グリム童話が「グリム童話」と呼ばれるのは、グリム兄弟(*)という仲良し兄弟が集めた童話だからです。
(*) Jacob Grimm と Wilhelm Grimm。 この2人が生きたのは18世紀後半~19世紀半ばのドイツ。 ふたりとも言語学者にして文献学者でした。

死神の「グリム」とグリム兄弟の関係

死神的な意味で使われる「グリム」は "grim" で、グリム兄弟の「グリム」は "Grimm" です。 残念ながら別々の言葉なわけです。

ですがご安心ください。 大丈夫です。 なんと、"grim" と "Grimm" は語源が同じなのです!

"grim" も "Grimm" も語源を突き詰めると、「残酷な」などを意味するゲルマン祖語の形容詞 "grimmaz" に行き当たります。 良かったですね。
ドイツ語の "Grimm" は普通名詞(人名ではない)としても用いられます。 普通名詞としての "Grimm" の意味は「深い怒り」です。

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