「ヘリテージ」と「インヘリタンス」の意味は? 2つの言葉の関係は?

質問.ヘリテージ(ヘリテッジ)」と「インヘリタンス」って、どういう意味ですか?

回答.「ヘリテージ(ヘリテッジ)」は「遺産」などの意味です。 「インヘリタンス」も「遺産」などの意味です。

詳しい意味は下記をご覧ください。

1.「インヘリタンス」の意味

「インヘリタンス」を英語に戻すと "inheritance"。 "inheritance" は名詞で、意味は次の通り:

  1. 相続した財産や地位など(利益的な意味での「遺産」)、または将来的に相続する予定の財産や地位など
  2. 財産や地位の相続
  3. 相続権
  4. 両親や祖先から遺伝的に受け継ぐもの。 性格や性質など
  5. (文化的な意味での)遺産
  6. (生物学や言語学やプログラミングなどの概念として)遺伝、継承

2.「ヘリテージ」の意味

「ヘリテージ(ヘリテッジ)」を英語に戻すと "heritage"。 意味は次の通り:

2.1. 名詞

  1. 相続した財産(利益的な意味での遺産)、または将来的に相続する予定の財産
  2. 生得権(王位継承権や長子相続権など生まれた時点で獲得する権利)
  3. 両親や祖先から遺伝的に受け継ぐもの。 性格や性質など
  4. (文化的な)遺産。 伝統、言語、歴史的な価値のある建築物など
    UNESCO が運営する「世界遺産」の「遺産」もこの意味。 「伝統」とは、国・社会・企業・家族などに代々受け継がれる慣習・価値観・技術など。

2.2. 形容詞

  1. 「(品種やブランドについて)伝統的でハイクオリティーで希少価値が高い」(用例
  2. 「(言語について)先祖伝来の」というような意味(この意味の解説

3.「ヘリテージ」と「インヘリタンス」の違いは? 関係は?

3.1. 違い

同じ「遺産」の意味でも、"heritage" は「文化的な遺産」の意味が強く、"inheritance" は「利益的な遺産」の意味が強いです。 辞書によっては、"heritage" の項目に「利益的な遺産」の意味を載せていないほどです。

また、"inheritance" には「相続(すること)」という行為の意味がありますが、"heritage" にはありません。 "heritage" の「相続」の意味は「相続した(する)もの」というモノの意味に限られます。

3.2. 関係

"heritage" と "inheritance" は語源が同じです。 どちらも「相続人」を意味するラテン語 "hērēs" が語源です。

この "hērēs" から古フランス語を経て、"heritage" と "inheritance" が生まれました。
「ヘリテージ」や「インヘリタンス」と同じくラテン語 "hērēs" を語源とする言葉に、「ヘレディタリー」があります。

4. 予言

「インヘリタンス」と「ヘリテージ」の今後のカタカナ普及の見込みを予測しておきましょう。

ヘリテージ

  • 伝統的でハイクオリティーで希少価値が高い」の意味の「ヘリテージ」は、今後カタカナ語として活躍することでしょう。 「プレステージ」と同じようにプレミア感を煽る感じで使われることでしょう。 「ヘリテージ野菜」「ヘリテージ米」「ヘリテージ酒」「ヘリテージ味噌」... こうして具体例を挙げるとイマイチですが、それでも普及すると予言しておきましょう。 どこかの誰かが、カッコいいフレーズを思いつくに違いありません。
  • ヘリテージ・ランゲージ/スピーカー」というカタカナ語も普及するでしょう。 日本への移民の増加に伴い、家庭で日本語以外の使われている言語を使う人は増加の一途。 そのような人を指し示すのに「生まれ育った家庭で日本語以外を使われていた」といちいち言うのは大変ですから、簡潔に「ヘリテージ」という言葉が用いられるようになるはずです。

インヘリタンス

  • 「インヘリタンス」はカタカナ語としては普及しないでしょう。

「ヘリテージ」の意味の補足

世界遺産(ワールド・ヘリテージ)

UNESCO(国際連合教育科学文化機関)の活動の1つに「世界遺産(文化や自然の保全が目的)」があります。 「世界遺産」に対応する英語は "World Heritage(ワールド・ヘリテージ)" です。

世界遺産の1つ1つ(姫路城や白神山地など個々の世界遺産)を指す言葉は、"World Heritage Site" です。
"site" に「場所、現場」という意味があります。「ウェブサイト」の「サイト」なんかも "site" です。

「伝統的でハイクオリティーな」の意味の用例

以下は、"heritage" が「伝統的でハイクオリティーで希少価値が高い」の意味で使われている用例です。 用例中の "heritage" は、あえて「ヘリテージ」とカタカナにしています。
Cotswold sheep are considered a heritage breed in Canada.
コッツウォルド・シープ(コッツウォルドの羊)は、カナダのヘリテージな品種だ。
Heritage carrots are not always orange in colour.
ヘリテージ・キャロットはオレンジ色だとは限らない。

# ヘリテージ・キャロットは紫色や黄色のものもあります。 「ヘリテージ・キャロット」は「古代ニンジン」と訳したいところです。

ヘリテージ・キャロットは、きっと野生種のニンジンに近いのでしょう。 Plantlife によると、ニンジンの野生種(wild carrot)は繊維質が多くて堅く食用に向きません。 現在のニンジンは17世紀にオランダ人が品種改良したものです。 ただ、「オランダの国の色がオレンジ色だからオランダ人がニンジンをオレンジ色に改良した」という説は本当かどうか怪しいそうです。
Britain's oldest heritage brands, including Jaguar, Harrods and the BBC
英国の最古のヘリテージ・ブランド: ジャガー(自動車)、ハロッズ(百貨店)、それにBBC(国営放送局)など

この意味の「ヘリテージ」は、「伝統野菜(京野菜など)」の「伝統」や「古代米」の「古代」と同じ雰囲気です。

言語に関して用いられる "heritage"

例えば、メキシコから米国に移民してきた人の子供は、両親が使う言語はスペイン語ですが生まれ育つ地域の言語は英語で、だからスペイン語の習熟は不十分です。

この子供と同じような境遇の人は、スペイン語に関して "heritage speaker" だと見なされます。 また、そんな人にとってスペイン語は("native language" ならぬ)"heritage language" です。
"heritage speaker" は "native speaker" と対比される概念です。 "native speaker" との違いは(特に読み書きにおいて)先祖伝来の言語との接触が不十分である点です。

「~語のヘリテージ・スピーカー」と言いたい場合には "a heritage ~ speaker" や、"a ~ heritage speaker"、"a heritage speaker of ~" という言い方をします。

この意味の "heritage" に対応する日本語

"heritage language" の "heritage" の意味に対応する日本語は次のようなものでしょうか:

生まれ育った家庭で使われている(いた)が暮らしている国の言語ではない~

"heritage speaker" の "heritage" なら次のようなもの:

生まれ育った家庭で使われている(いた)が暮らしている国の言語を話す~

いずれも、"heritage" の意味を簡潔に伝える日本語が存在しません。 したがって、この意味の "heritage" に関しては「ヘリテージ」とカタカナを使うのもやむなしでしょう。

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