"I am~" の意味は「私は~」ではない。 そして意味が2つある

"I am~" に対応する日本語は「私は~」ではありません。

"I am~" には2つの意味が存在します。

この2つの意味のうちの1つでは、"I am~" に「私は~」という日本語を当てはめても(正しくはないものの)不都合は生じません。 しかし、"I am~" のもう1つの意味は、「私は~」では訳せません。

1. 正しい意味

"I am~" の意味は次のいずれかです:

  1. 私は~です
  2. 私は(~に)存在する

1.1. "am" には動詞としての意味がある

このように "I am~" に2つの意味があるのは、"am" というBe動詞が原因です。 Be動詞も動詞である以上、動詞としての意味がちゃんとあります。

「私は~」の「は」は助詞であって動詞ではないので、Be動詞の訳語にはなり得ません。 "I am~" の意味を「私は~」だと覚えるのは、この点において間違っています。

1.2. "am" の意味

"I am" の "am"(つまりBe動詞)は次のいずれかの意味です:

  1. (...は)~である
  2. 存在する

Be動詞には他にも意味がありますが、主要な意味はこの2つです。

次で、この2つの意味の使われ方を説明しましょう。

2.「(...は)~である」の場合

"I am~" が「私は~である」という意味のとき、「~」の部分には形容詞または名詞が入ります。 例えば次の文:
I am healthy.
私は健康である。
# 「私は健康である」は「私は健康」でも構いません。 ここまでの説明ではBe動詞の意味を分かりやすくするため「~だ」ではなく「~である」としてきました。

3.「存在する」の場合

3.1. 副詞と共に

「存在する」のほうの意味のBe動詞は「場所を言い表す副詞」と共によく用いられます。 次の例文では "here" が「場所を言い表す副詞」です。
I am here.
僕はここにいる(存在する)。

"am" を「」ではなく「存在する」の意味に捉えると、次のように見事に英語と日本語が対応します:

  • I ・・・ 僕(わたし)
  • am ・・・ 存在する(いる)
  • here ・・・ ここに

3.2. 副詞を伴わないことも

「存在する」のほうの意味のBe動詞が副詞を伴うとは限りません。 例えば、"I am." だけで「私は存在する/いる」という意味になり得ます。

I think, therefore I am.
我思う、ゆえに我あり。
# デカルトという有名な哲学者の言葉です。「自分はここに存在するのか?」と考える(I think)こと自体が自分が存在する(I am)証(あかし)であるという意味です。

英語には "exist(存在する)" という動詞がありますが、「存在する」のほうの意味のBe動詞は、この "exist" と同等の意味を持ちます。

要注意

"I am." で終わる文の "am" が常に「存在する」の意味だとは限りません。

例えば、次の会話文中の "am" は「~である」の意味です:
"Are you an artist?"
"Yes I am."

"Yes I am." の後ろに "an artist" が省略されています。

4.「私は~」で対応できないのは「存在する」のほうの意味

"I am~" を「私は~」の意味に(間違って)覚えていて明白な支障が生じるのは、"am" が「存在する」の意味で使われている場合です。

例えば上記の "I think, therefore I am." の "I am" を強引に「私は~」で訳そうとしても、「我思う、ゆえに我は」や「我思う、ゆえに我だ」などと間違った和訳しか生まれません。

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