"Some say~." の意味は? 訳し方は?

1. 意味

"Some say~." の意味は次の3通りです:

  1. ~だと言う者が(も)いる。
  2. ~だと言う人が比較的少し存在する。
  3. 一部の人は~と言っている。

どれも同じような意味に思えるでしょうが、微妙にしかし確実に意味が異なります。 この3つの使い分けについて以下で解説します。

2. 解説

2.1. 全体

"Some say~." は "Some" が主語で "say" が動詞です。

"Some say~." は、文型で言えば第三文型(SVO)。 O(目的語)に当たるのは "Some say~." の「」の部分です。

"Some say~." の "some" は複数扱いなので、"some" の後ろに続く動詞 "say" に三単現の "-s" がついて "says" となりはしません

2.2. say

"say" の意味は「言う」です。

2.3. some

"Some say~." の "some" は限定詞(形容詞)ではなく代名詞です。

代名詞の "Some" は "Some people" と同じ意味で、次の3種類の意味があります。 "Some say~." に3通りの意味があるのも "some" に3種類の意味があるためです。

2.3.1. 複数の人や物

数は不明だが複数」という意味です。 この意味の "some" は、数に関して「単数ではなく複数」という情報しか伝えません。 少数とは限りません

2.3.2. 少数(少ない数)

"some" が "many" など「数の多さ」を含意する言葉と対比されて使われる場合、その "some" は「少数」の意味合いを持ちます。

ただし、この「少数」にしても "many" などとの対比において比較的(相対的に)少ないというだけであって、絶対的な数が少ないとは限りません。 例えば "many" で指し示されるグループの数が10万であれば、1万であっても「比較的」には少ないわけであり "some" で表現され得ます。

2.3.3. 全体の一部

"some" が "others" や "the other(s)" あるいは "most(大部分)" など「全体のなかの特定の部分」を意味する言葉と併用されている場合、"some" は「全体のうちの一部」を意味します。

一部(1つのグループ)」という概念が成立するには「他の一部(他のグループ)」の存在が不可欠なので、"some" の他に集団を指し示す語("others" など)が同一文中あるいは前後の文中に無いなら、"some" は「一部」の意味にはなりません。

「一部」と「他の部分」の例

例えば「従業員数100人の会社で、30人が徒歩通勤で20人が自転車通勤」という状況で、徒歩通勤のグループが「一部」で自転車通勤のグループが「他の一部」に当たります。 「全体」は100人の従業員です。

"some" が使われるのは、具体的な数を言わずに徒歩通勤のグループを指し示したいときです。 そして "some" を使った後で自転車通勤のグループを指すときに "others" を使います。("some" "others" の組み合わせでなく "some" を繰り返すことも)

"some" と "others" で指し示される集団の違いは話に登場する順番だけで、どちらの数が多いか少ないかは関係ありません。 ですので、自転車通勤グループに先に言及するなら自転車通勤グループが "some" で徒歩通勤グループが "others" ですし、徒歩通勤グループに先に言及するならその逆です。

自転車通勤でも徒歩通勤でもない残りの50人全体をまとめて指すには "the others" を用います。 "the" が付くことで「残り全部」という意味になります。 "the" が付かない "others" は「他のグループ、他の複数名」の意味です。(例えば、Some~, others~, and the others~. という感じで使われる)

3. 3種類の "Some say~." の訳し方

3.1. 全体の一部

"Some say~." の "some" が "others" や "the other(s)" や "most" あるいはもう1つの "some" と対比して使われていれば、その "some" は「一部の人」の意味です。

この場合の "Some say~." は「~だと言っている者もいる」や「一部の人は~だと言っている」と訳すと良いでしょう。 "others" など他のグループとの対比を意識した訳を心掛けましょう。

3.2. 少数

"Some say~." の "some" が "many" など多数を表す語と対比して使われていれば、その "some" は「少数」という意味合いを含みます。

この場合の "Some say~." は「~と言っている者も少しはいる」など数の少なさ反映する日本語に訳すと良いでしょう。 ただし上述のように、"some" で表現される少なさが相対的(比較的)である点に留意が必要です。

3.3. 不特定の複数(複数の人や物)

上記のいずれにも該当しない "some" は「不特定の複数」としか分からないので、状況に応じて上記(3.1. と 3.2.)のいずれかに訳しましょう。
"some" が「少数」の意味であるケースは意外に少ないので、むやみに「少数」の意味を訳に出さないように注意しましょう。

4. 例文

Some say vengeance is sweet.
復讐が甘美だと言う人もいる。

# 文脈によっては「一部の者は復讐が甘美だと言う」や「幾人かは復讐が甘美だと言う」という訳も可能です。

"say" の後ろに "that" が省略されていて、その "that" が導く節(vengeance is sweet)が "say" の目的語となっています。 "vengeance" は「復讐」という意味。
Some say yes. Many say no.
肯定する者もいるが、多くの者は否定する(少数の者はイエスと言う。 多くの者はノーと言う。)
# この "some" は "many" と対比されていて「少数」というニュアンスがあります。
How many months should I breastfeed my baby. Some say 4, others say 6.
赤ちゃんに母乳を与えるのは何ヶ月がいいのかな。 4ヶ月だと言う人もいるけれど、6ヶ月だと言う人もいるの。

# この例文は1つ上の例文と違って、"some" は「少数」というニュアンスを含みません。

この "some" は "others(他の人たち)" との対比で、授乳期間に関して異なる意見を持つグループが2つ("some" と "others")存在することを示しています。 この例文は、"some" と "others" それぞれの数の多寡に関する情報を含んでいません。

トップページに戻る