「テイル(テール)」の意味を教えて! え、単語が2つあるの?

質問: 英語の「テイル(テール)」とは、どういう意味ですか?

回答: カタカナで「テイル(テール)」と表記される英単語は2つあります。 次の2つです:

  1. tail・・・尻尾(しっぽ)
  2. tale・・・お話
詳しくは以下を御覧ください。

1. 「テイル(テール)」の用例

1.1. 「尻尾」の意味の「テイル(テール)」

「ドラゴンズテイル」や「ナインテイル」の「テイル」、あるいは「ポニーテール」や「ツインテール」の「テール」は「尻尾」を意味する "tail" のほうです。

ドラゴンズテイル

「ドラゴンズテイル」を英語に戻すと "dragon's tail"。 意味は「ドラゴンの尾、竜の尾」です。

ナインテイル

「ナインテイル」を英語に戻すと "nine tails" で、意味は「9本の尾」。「9本の尾」というと日本や中国では「九尾の狐」が有名ですが、英語圏で「9尾」と言えば "Cat o' nine tails" です。

"o'" は "of" なので、"Cat o' nine tails" の和訳は「9尾の猫」です。 なれど、この言葉が指すのはは妖怪ではなく刑罰用のムチ。 ムチのしなる部分が9本に分かれている(実際には9本とは限らない)ため、このように呼ばれます。

どうして「猫」なのかは不明ですが、「魔女が猫に9回変身できる」という言い伝えが関係しているかもしれません(*)
(*) 関係していないかもしれません。

ポニーテール

頭の後ろでくくった髪がポニー(小型の馬)の尻尾のように見えるから「ポニーテール(ponytail)」なのでしょう。 "pony" は「小型の馬」という意味です。

ツインテール

「ツインテール」は和製英語だと思われます。 英語の辞書には、「ツインテール」の原語に相当する言葉が見当たりません(*)

(*) 一部の辞書は "twintail" という語を載せていますが、記載される意味は「尻尾が2つに分かれているタイプの金魚」。 髪型的な意味を記載する辞書はありません。
「ポニーテール」からの連想で、「2つに分けるタイプのお下げ髪」という意味の和製英語「ツインテール」が生まれたのでしょう。 英語で「2つに分けるタイプのお下げ髪」を指す言葉は "pigtail"(*) です。
(*)「豚の尻尾」を意味する。 "pigtail" は1本タイプのお下げ髪を指すこともあるが、2本タイプを指すことが多い。

英語版の Wikipedia に "twintail" や "twin tail" という言葉が出てきますが、これは和製英語「ツインテール」の逆輸入と思われます。

1.2. 「お話」の意味の「テイル」

「ウインターズテイル」や「バーズテイル」の「テイル」は「お話」を意味する "tale" のほうです。

ウインターズテイル

「ウインターズテイル」を英語に戻すと "winter's tale"。 意味は「冬の物語」です。

「ウインターズテイル」には2つあり、1つは 1983年に発表された小説(Mark Helprin 作)およびその小説に基づく映画 "Winter's Tale" です。 この作品の舞台はニューヨーク市、季節は冬。 冬だから「冬の物語」なのでしょう。 こちらの "Winter's Tale" は、「ウインターズテイル」というカタカナのタイトルで日本語版になっています。

もう1つの「ウインターズテイル」はシェイクスピアが17世紀に発表した演劇の脚本で、"The Winter's Tale" と "The" が付きます。 こちらは日本語版のタイトルが「冬物語」。 漢字です。

シェイクスピアの "The Winter's Tale" は、作中で "a sad tale's best for winter(冬に最適の悲しいお話)" と説明されているので、「屋内で過ごすことが多い冬に語るのに向く物語」という感じでしょうか。

バーズテイル

「バーズテイル」を英語に戻すと "The Bard's Tale"。 訳すと「吟遊詩人の物語」。 「バーズテイル(The Bard's Tale)」は米国で作られ日本に輸入されたコンピューターRPGです。
「バーズテイル」は今もなおシリーズ作品が作成されています。 第一作目の発表は 1985年です。

"bard" は「吟遊詩人」という意味です。 このゲームには、当時のコンピューターRPGとしては珍しく、バード(吟遊詩人)というクラス(職業)が登場します。

このゲームの第一作目のパッケージに次の一文があります:
Luckily you have a Bard with you to sing your glories, if you survive. For this is the stuff of legends. And so the story begins...
幸運にも、あなた(プレイヤー)にはバード(吟遊詩人)が同行する。 この冒険を生き延びたなら、バードがあなたの栄光を歌い称えることだろう。 なんとなれば、この冒険は伝説の題材となる事柄なのだから。 こうして物語は始まる...

2. 「テイル(テール)」の詳しい意味

2.1. "tale" の意味

  1. (実際にあったこと、あるいは架空の)話、お話、物語
  2. ウソ、でっち上げ
  3. 陰口、悪意を伴う噂話、ゴシップ
チャールズ・ディケンズが 1859年に発表した「二都物語」は原題を "A Tale of Two Cities" と言います。

2.2. "tail" の意味

次に記載するのは "tail" の名詞としての意味です。

  • (動物の)尻尾
  • (人の)けつ、尻
  • 自動車や航空機などの乗り物の最後部(テール・ランプの「テール」)
  • 服のすそ(いちばん下の部分)
  • ページ下部の余白、書籍の下側の端
  • "g" や "y" や "q" といった文字の下にはみ出る部分
  • 彗星の尾
  • コイン(硬貨)の裏面
  • (行列などで)最後尾に位置する人や物、最後の部分
  • 人や物の列(1つ上の意味と違い行列全体を指す)
  • (要人に)引き連れられる随行員や従者の一群
  • 頭の後ろでくくった髪(ポニーテールやツインテールなど)
  • 逃亡中の人(犯人など)や動物(狩りの獲物など)の足跡/足どり、犯人の尻尾
  • 尾行などにより誰かの動向を把握する役目を負う人
  • ("tails" と複数形で)男性の正装、燕尾服、テールコート
  • 歌詞や出来事などの最後の部分
  • どうでもいい部分、余計な部分
  • (俗語)人や動物の男性器
  • (俗語)性交
  • (俗語)女性を性的な目で見るときの蔑称("piece of tail" などの言い方をする)
  • (形容詞的に用いて)後部から来る、後部に生じる(例. tail wind 追い風)

"tail" には「尾行する」など動詞としての意味もあります。

3. 発音について

"tale" と "tail" は発音が同じで、どちらも「テイル」と発音されます(「テール」よりも「テイル」のほうが原語の発音に近い)。

4. 漫画『フェアリーテイル』

『フェアリーテイル』という少年向けの漫画がありますが、この漫画のタイトルは英語で "Fairy Tail"、つまり「妖精の尻尾」です。

カタカナで「フェアリーテイル」と言えば普通は "fairy tale" のほうで、その意味は「(妖精が登場するような)おとぎ話」です。 ですが、漫画『フェアリーテイル』では "fairy tale" の "tale" を "tail" に変更しています。

"Fairy Tail" というタイトルの由来は、主人公が所属するギルド(組織)の名称が「Fairy Tail(妖精の尻尾)」だからに違いありませんが、そもそもこういうギルド名にしたのは "tale" と "tail" の発音が同じなのに目を付けたマンガ作者の遊び心ゆえでしょう。

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