「ダイアリー」の本当の意味は? 丸太との関係は?

フィオナちゃん: ねえアップルくん、「ダイアリー」って本当はどういう意味なの?

アップルくん:「日記」という意味だけど、「本当は」ってどういうこと? フィオナちゃんはこれまで「ダイアリー」をどんな意味だと思ってたの?

フィオナちゃん: やだもう、アップルくんたら。 そんな恥ずかしいことを私に言わせるつもり? それより、ねえ、ダイアリーが丸太と深い関係にあるって噂はホント?

アップルくん: ダイアリーと丸太か。 たしかに関係してるけど... どこでそんな噂になってるの?

フィオナちゃん: どこだっていいじゃない。 そんなことより「ダイアリー」について、そしてダイアリーと丸太の関係について詳しく教えてよ。

アップルくん: OK、次の通りだ。


1.「ダイアリー」について

「ダイアリー」を英語に戻すと "diary"、この "diary" の意味が「日記」です。
日本語の「日記」には「日記に書く内容」の意味と、「日記帳、日記を記入する媒体(紙面や電子ファイル)」の意味がありますが、英語の "diary" も「日記」と同じく両方の意味を持ちます。
"diary" には「スケジュール表(1日刻みで予定を記入するもの)」という意味もあります。 この意味で "diary" を用いるのは主に英国です。
英国では "diary" を、「過去の記録」と「未来の記録」の意味で用いるわけです。

2. 丸太との関係

"diary" の定義
"diary" を次のように定義する辞書があります:
A daily log of experiences
経験したことの日々の記録

daily ―《形容詞》日々の、毎日の

log ―《名詞》記録

experiences ―《名詞》経験("experience" の複数形)
注目すべきは "log"

ここで注目して欲しいのが "log" という語です。

上述の定義で "log" は「記録」という意味ですが、"log" には「(枝や幹の)丸太」という意味もあります。

そして、"log" の「記録」の意味は「丸太」の意味から生まれました。

まとめ

ダイアリーと丸太の関係を要約すると次の通り:

ダイアリーがログ(記録)の一種で、「ログ」のもともとの意味が「丸太」。

でも、どうしてログ(丸太)に「記録」という意味が備わったのでしょう? その辺りの経緯を以下で述べます。

「丸太」から「記録」が生まれた経緯

「丸太」と「記録」の関係と聞けば10人中8人は、「さては、丸太に記録を刻んだな」と思うことでしょう。 無人島に漂着したクルーソー家のロビンソンが、漂着してからの日数を丸太にナイフで刻む姿が目に浮かびます。

しかし残念ながら、「丸太」から「記録」の意味が生まれたのは丸太に記録を刻んだからではありません。 丸太と記録の間に関係が生じたのは... そう、あれは中世時代の航海でのことでした。

航海で何があったのか?

1. なぬっ!? 船のアレを丸太で?

中世の航海において、丸太は船の航行速度の計測に用いられました。

ロープの先に丸太をくくりつけて丸太を船尾から海中に放り投げると、海中の丸太が生み出す抵抗によってロープが船外へシュルシュルと出てゆきます。 そうして数百メートルの長さのロープが出てゆくペースから、航行速度を割り出したのです。
船が勢いよく進んでいるとロープも勢いよく船外に出てゆきます。 逆に、船が止まっているとロープは全く出て行きません。
2. 丸太で測った事柄を記録する文書

17世紀までに、航行速度や航程の消化ペースなどを記録する帳面(航海の記録)のことを、「ログ・ブック(log-book)」と呼ぶようになりました。 航行速度の測定に用いた「丸太(log)」にちなんだわけです。

3.「ログ」だけで...

19世紀には、この「ログ・ブック」が短縮された「ログ(log)」だけで「航海記録」を意味するようになりました。

4.「ログ」の意味が汎用的に

20世紀(1900年代)の初頭には「ログ」が、航海に限らず「物事を発生した順に記録したもの」を意味するようになりました。

この汎用的な意味の「ログ(log)」こそが、"diary" の定義 "A daily log of experiences" に登場する "log" です。


アップルくん: ということなんだけど... 熟睡だねフィオナちゃん。 長すぎたのかな、ボクの話。

フィオナちゃん: ハッ、アップルくん。 お話は終わったの?

アップルくん: お目覚めかい、フィオナちゃん。 よく眠ってたね。

フィオナちゃん: ね、眠ってなどいなかったわ。

アップルくん: 口の端にヨダレが垂れてるよ。 はい、ハンカチ。

フィオナちゃん: ありがとう、アップルくん。

アップルくん: ちなみにフィオナちゃんは、どのへんまでボクの話を聞いてたの?

フィオナちゃん: えーと、英国のスケジュールは未来とかいう辺りかしら?

アップルくん: わりと最初のほうだね。

フィオナちゃん: ええ、そうね。

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