フィオナちゃん: ねえアップルくん、「ダイアリー」って本当はどういう意味なの?
アップルくん:「日記」という意味だけど、「本当は」ってどういうこと? フィオナちゃんはこれまで「ダイアリー」をどんな意味だと思ってたの?
フィオナちゃん: やだもう、アップルくんたら。 そんな恥ずかしいことを私に言わせるつもり? それより、ねえ、ダイアリーが丸太と深い関係にあるって噂はホント?
アップルくん: ダイアリーと丸太か。 たしかに関係してるけど... どこでそんな噂になってるの?
フィオナちゃん: どこだっていいじゃない。 そんなことより「ダイアリー」について、そしてダイアリーと丸太の関係について詳しく教えてよ。
アップルくん: OK、次の通りだ。
1.「ダイアリー」について
2. 丸太との関係
"diary" の定義
"diary" を次のように定義する辞書があります:・daily ―《形容詞》日々の、毎日の
・log ―《名詞》記録
・experiences ―《名詞》経験("experience" の複数形)注目すべきは "log"
ここで注目して欲しいのが "log" という語です。
上述の定義で "log" は「記録」という意味ですが、"log" には「(枝や幹の)丸太」という意味もあります。
そして、"log" の「記録」の意味は「丸太」の意味から生まれました。
まとめ
ダイアリーと丸太の関係を要約すると次の通り:
ダイアリーがログ(記録)の一種で、「ログ」のもともとの意味が「丸太」。
でも、どうしてログ(丸太)に「記録」という意味が備わったのでしょう? その辺りの経緯を以下で述べます。
「丸太」から「記録」が生まれた経緯
「丸太」と「記録」の関係と聞けば10人中8人は、「さては、丸太に記録を刻んだな」と思うことでしょう。 無人島に漂着したクルーソー家のロビンソンが、漂着してからの日数を丸太にナイフで刻む姿が目に浮かびます。
しかし残念ながら、「丸太」から「記録」の意味が生まれたのは丸太に記録を刻んだからではありません。 丸太と記録の間に関係が生じたのは... そう、あれは中世時代の航海でのことでした。
航海で何があったのか?
1. なぬっ!? 船のアレを丸太で?
中世の航海において、丸太は船の航行速度の計測に用いられました。
ロープの先に丸太をくくりつけて丸太を船尾から海中に放り投げると、海中の丸太が生み出す抵抗によってロープが船外へシュルシュルと出てゆきます。 そうして数百メートルの長さのロープが出てゆくペースから、航行速度を割り出したのです。2. 丸太で測った事柄を記録する文書
17世紀までに、航行速度や航程の消化ペースなどを記録する帳面(航海の記録)のことを、「ログ・ブック(log-book)」と呼ぶようになりました。 航行速度の測定に用いた「丸太(log)」にちなんだわけです。
3.「ログ」だけで...
19世紀には、この「ログ・ブック」が短縮された「ログ(log)」だけで「航海記録」を意味するようになりました。
4.「ログ」の意味が汎用的に
20世紀(1900年代)の初頭には「ログ」が、航海に限らず「物事を発生した順に記録したもの」を意味するようになりました。
この汎用的な意味の「ログ(log)」こそが、"diary" の定義 "A daily log of experiences" に登場する "log" です。
アップルくん: ということなんだけど... 熟睡だねフィオナちゃん。 長すぎたのかな、ボクの話。
フィオナちゃん: ハッ、アップルくん。 お話は終わったの?
アップルくん: お目覚めかい、フィオナちゃん。 よく眠ってたね。
フィオナちゃん: ね、眠ってなどいなかったわ。
アップルくん: 口の端にヨダレが垂れてるよ。 はい、ハンカチ。
フィオナちゃん: ありがとう、アップルくん。
アップルくん: ちなみにフィオナちゃんは、どのへんまでボクの話を聞いてたの?
フィオナちゃん: えーと、英国のスケジュールは未来とかいう辺りかしら?
アップルくん: わりと最初のほうだね。
フィオナちゃん: ええ、そうね。